るるりらの流支(るーしー)

わたしは、詩を趣味としている 主婦で、詩板では るるりらと なのっております。 このブログは まずわたしが よき詩の読者であるための場所がほしいとおもい たちあげました。 よろしく お願いします。   

2015年03月

【アールヌーボー&アールデコのアールとは何か】

↑このような話題が あった。アールとは 直訳すると芸術と訳されることが多いようだ。
けれど、なぜ この時代(1920年代)の藝術だけをアールと呼ぶのかという疑問も出たりした。
産業革命がを経て、多くの人々が情報を人々は共有することができるようになった。それは人々が【流行】というものを以前よりも より認識しながら生活することを意味していたろうから、【アール○なにがし○】と呼ぶことがかっこよかったという感じ 私はする。
 とよよんさんが美術館のホームページを照会してくださって オリエント急行に私は 妙な 既視感覚があった。

時間をかけて 想いだしてみたら、わたしは その列車の中に実際に入ったことがあることを思い出しました。わたしにとって、列車に乗ったことがあるという記憶が 覚醒したことは、金鉱を掘り当てたような、わくわくするできごとだった。

アールデコにしろ アールヌーボーにしろ、過去の作品群であることには間違いないだろうけれど、
力ある藝術作品が人々によって守られてきた訳は、それらの作品は 人にとって 良い力が 備わっているからだと思いました。
 人間の記憶を呼び覚ますことは 人間を蘇生させる力を触発することなのだなと 私は 学びました。


【おまけ】1920年代を 想起できる映画

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閂は開かれる
るるりら


【閂は開かれる】

閉ざされた記憶の門のかんぬきが
思いがけない方法で開かれることを 私は知った
たとえば 少女の髪にあったリボンが
ほどかれた瞬間に急に大人び
何かを失ったかのような遠い目をしたとしたら その先にあるのは
青い空ではなく 未来の自分への便りだ

こころを射抜いた事柄は たとえ桜貝のように小さくとも
閂で閉じられた記憶世界では しずかに息をしている
すべてに光が注がれ同時に影が揺らいでいる
大人になり すっくと立つという単純なことこそを手に入れるために
捨てたつもりだったさまざまな雑多な事柄も
生命力のある記憶だけは やがて 大人になったつもりの
わたしの内側の殻を破って 出てくる少女のような わ た し

オリエントエクスプレス
わたしは昔、この超一流の急行列車に
一瞬だけ乗ったことがある
鉄道オタクの友人が 「有名な列車だよ
一瞬だけなら 切符なしでも きっと乗せてもらえるよ」
というので 乗った

ほんとうに わずかな時間だったけれど
鮮やかに翻る記憶

私が 過去をうしなったことなど無いのだ
どんな ちいさな事柄であっても 生命力のある記憶なら
こんなふうに わたしの中に質感をそのままに私の内側から
光を発しつづけるのだろう



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(メビウスリング2月勉強会 「アール・デコ」課題詩:新川和江 『記事にならない事件』 提出作品)


ハイジのおでこはアールデコ
るるりら

「ハイジのおでこはアールデコ」

塾に行く子供たち 電車を待ち
丸い おせなで ゲームする
一番線に 白ヤギが紛れ込んでいますご注意ください
満員電車の中で みんな気付きません
二番線に 黒ヤギが入りますご注意ください
がらがらのホームに黒ヤギが ひしめいていてもみんな気にしてません
だれも駅に とどまりはしないし みんな どこかにゆくのです

みんな何処かへ帰りたいのです どこー
少女のデコはハイジとおなじ アールのデコ―
いささか混雑 いささかいさかい けれど
まぶたを閉じると アルプスの白い雲
しろぱんのように やさしいのは どこー
なんだかやわらかい 何処か遠く
クララと一緒の こころの居場所

クララの暮らす部屋はアールデコ
窓を開けてはいけません おそとは いけない空気しか ありません
ハイジもわすれそうな アルプスのおやまも
おとなたちが 汚そうとしていますから
こころを開いてはいけません

三番線に おじいさんがきます
四番線で こくりこくりとふねをこぐ
あらあらゲーム機が ゆびから落ちそうな
少女のおでこを こやぎがぺろり
なめている

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(メビウスリング2月勉強会 「アール・デコ」課題詩:新川和江 『記事にならない事件』 提出作品)

 今回の企画はコチラです。 http://mb2.jp/_poem/274.html-734-747


お題としましては、まずは以下の作業の中から、お好きなものを選んで入ってもらえばスムーズかなと思います。(以下は例であり、基本的に自由です)

  (1) 新川和江さんの『記事にならない事件』を読む
      


   記事にならない事件    作 新川和江  「比喩でなく」より



見ましたか? とある森かげ
しなやかに伸ばした少女の腕から
枝がのび 葉が生えて
みるまに いっぽんの木になってしまったのを
見ましたか? 青年がその木のそばで
紺の上着を脱ぎ捨てた
とみるまに鳩になったのを
 (電話のベルは 鳴りっぱなし 鳴りっぱなし
  誰も出ない 誰もいない 今日は日曜日)
郊外電車にあかりがつくと
人たちはそそくさとまたにんげんを着て
ビジネスの街に帰ってくるが
聞きませんか? この頃近くの牧場では
休日のあと 見馴れぬ馬が
一頭や二頭 きまってふえているという話を
 (電話のベルは 鳴りっぱなし 鳴りっぱなし
  誰も出ない 誰もいない 月曜日が来ても)





★「アール・デコ アール・ヌーヴォー 違い」
アール・ヌーヴォーはガウディなどの曲線的な美術、19世紀末~20世紀初頭、
アール・デコは商業的デザイン、1920~30年。

【建築】
アール・デコの代表的建築物…東京都庭園美術館、クライスラービル、エンパイアステートビル

【硝子工芸】ルネ・ラリック 箱根ラリック美術館
フランスのアイという自然豊かな場所で育ち、16歳で宝石職人に弟子入りし、オペラ座やルーブル美術館の近くで晩年まで過ごしたそうです。
1900年、パリ万博でジュエリー作家としてブレイクし、大富豪のために一点物のジュエリーを制作しました。これらはモチーフに女性の顔も使われていたり、どちらかというとまだアール・ヌーヴォー的要素を残すデザインだったようです。
その後、ガラス工芸家の道を選び、花や鳥をモチーフに香水瓶や、花器、シャンデリア、壁の装飾パネルなどを作り、オリエント急行のインテリアのガラスパネルも作成したそうです。こちらはいわゆるアール・デコ。
12 - コピー








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【ハイマートロス】ドイツでは「バカ野郎」という意味で使われる言葉にハイマートロスがあるそうな。
直訳だと「故郷喪失」という意味の言葉が、「バカ野郎」という意味で使われているらしい。
ドイツ語を全く知らないが どこの馬の骨という言葉に近いのかもしれない。



添付写真は、 箱根ラリック美術館所蔵のオリエント急行なのですが、わたしは この美術館に行ったことはないのですが、なぜか この情景をみたことがあり
そんな馬鹿なはずはないと思いながら 調べてみると 私はこの車両に乗ったことがありました。





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